研究職→営業職は“脱線”ではなく“選択肢”だと思った話

こんにちは、メーカーの研究職として働いているアラサーです。
今回は「営業職へのキャリアチェンジ」について、今の立場だからこそ感じていることを言語化してみたいと思います。*個人的な意見も含まれています

私は現在、材料開発系のR&D部門に所属しています。ですが最近、「このまま今の仕事を続けていていいのか?」という漠然とした虚無感や、将来に対する不安を抱き始めています。
そんなときにふと耳に入ったのが、「研究職から営業に異動した社員の話」でした。


実際にあった、社内の“レアケース”としてのキャリアチェンジ

うちの会社の総合職採用では、基本的に文系職と理系職ではっきり分かれています。
ですが、あるとき別部門との打合せの中で、営業として活躍されている方が、かつては研究畑の人だったという話を聞きました。

その方は、技術的に成熟しきった製品の研究開発を5年ほど担当したのち、希望を出して営業へ異動。現在は営業として、メーカー向けに材料提案を行っているとのこと。驚いたのは、海外顧客も含む幅広い対応を行い、数年後には海外駐在員としても活躍されたいうことでした。

正直、弊社ではかなり珍しい事例です。ただ、研究バックグラウンドがあることで、顧客の技術担当者と“同じ目線”で話ができる点が非常に評価されているようでした。


技術職→営業職キャリアの全体像

以下は、私がヒアリングや調査を通じてまとめた、研究職→営業職のキャリアパスと、比較視点です。

技術職と営業職のキャリア比較図

項目研究職(現職)営業職(キャリアチェンジ先)
専門性高い(ただし特定分野に限定)広く浅く(技術知識+業界動向)
顧客との接点少ない直接交渉、ニーズを拾える
昇進・評価指標成果が不透明、長期的売上・貢献が明確、管理職ルートが豊富
海外との関わり限定的(共同研究など)多い(海外顧客、駐在含む)
転職市場での強み限定的(専門分野依存)技術+営業=希少価値

なぜ私は興味を持ったのか? 〜“虚無感”の正体〜

今の仕事に不満があるわけではありません。ですが…

  • 「この研究、本当に世の中で必要なのか?」と自問する日が増えた
  • 商業化や特許につながる成果が、なかなか出ず日々の充足感が下がる
  • 「顧客ニーズ」が見えず、社内の評価基準だけで動いている感覚
  • 研究を繰り返した先にどのようなキャリアがあるのか

こうした想いの先にあったのが、「もっと市場の近くで働いてみたい」「自分の専門を“使う側”として提案してみたい」「キャリアの幅を広げたい」という願望でした。

正直、ラボにこもるだけでは見えない世界があるのではないか、と感じています。


チャレンジとしての営業職:難しいがやりがいも大きい

もちろん、営業職は簡単な道ではありません。
実際に社内の事例を聞いても、以下のような苦労があったといいます。

  • KPI(数字)プレッシャーが大きい
  • クレームや交渉など、精神的ストレスが強い
  • 成果が短期的に求められ、深い技術探究ができないことも

それでも、得られるものも大きかったと語っていました。

  • 顧客のリアルなニーズを肌で感じられる
  • 事業の“お金の流れ”や“収益性”に詳しくなれる
  • 自分が開発した技術を、実際に売り込める感動がある

「研究と営業、どちらが偉いとか正しいではなく、“どこで自分が活きるか”だよ」と言われた言葉が印象に残っています。


転職市場における強み:掛け算スキルの価値

私自身、今すぐ転職を考えているわけではありませんが、将来的な選択肢としての価値を見ています。特に重要だと感じるのは、「技術×営業」というスキルの掛け算による転職市場での価値です。もちろん、会社が求める人材によりけりな部分はあります。

市場における職種別の希少価値

職種・スキル構成専門性の高さ汎用性の高さ市場における希少価値コメント
技術 × 営業(ハイブリッド)高い高い★★★★☆技術も営業も理解できる人材は非常に希少で高評価
技術職のみ高い低い★★☆☆☆専門分野では強いが、応用や異業種展開に限界もある
営業職のみ低い高い★★☆☆☆汎用性はあるが差別化しにくく、専門性に欠けることも

技術職は高い専門性を持つ一方で、「汎用性」や「つぶしが利く」柔軟さには欠けることが多いです。特に日本企業の技術職においては、若手のうちは「ゼネラリスト的要素」も求められますが、年齢とともに役割が明確化し、「その分野の第一人者でなければ席がない」状態になりがちです。営業職は「経験がものを言う」世界である一方、“専門性がないように見える”が、実はある種の専門性が必要という二面性を持っており、この専門性は技術的要素の理解からも生まれるものであると思います。

多くの企業が「技術も分かって営業もできる人材」を欲しています。
でも、実際には非常に少ない。それは、ほとんどの人が“片方”だけのキャリアを積んでいるからです。


まとめ

研究職から営業職へ。それは単なる異動でも、逃げでもありません。むしろ、キャリアを広げるための攻めの一手になり得ます。

私自身、まだこの道を選んだわけではありませんし、このキャリアが今の会社で叶うかもわかりません。ただ、興味を持ち、学び、準備することは誰にもできます。そして何より、「ずっと今のままでいいのか?」と悩んでいるなら、それはもう変化の前兆なのかもしれません。今後は転職も視野に検討していこうと思います。

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